「不動産投資のリスクって何?」
「はじめて不動産投資をするけど、気をつけることって何?」
これから不動産投資をはじめる人はリスクを知ってから動き出したいですよね。
そこで、宅地建物取引士試験に合格した経験と書籍を参考に不動産投資のリスク8つと対策方法を解説します。
参考書籍は次のとおりです。
リスクを知ると知識が増えるので、不安な気持ちがなくなるはずです。
はじめての不動産投資を成功させましょう。
空室リスク
最大のリスクといえる「空室」はすぐに埋める必要があります。
家賃収入で不動産のローン返済をするケースが多いので、入居してもらわなければ返済できなくなるからです。
空室リスクを回避する方法は6つです。
- ①リフォームが必要かチェックする
- ②立地条件が良い地域を選ぶ
- ③管理会社に相談と逆営業
- ④より良い客付け業者を探す
- ⑤人口増加地域の物件を選ぶ
- ⑥ホームステージングで入居率を上げる
それぞれ、解説していきます。
①リフォームが必要かチェックする
リフォームが必要か、あなたの目で部屋をチェックして現状を把握してください。
サラリーマンが不動産投資する場合、物件の管理は管理会社に委託するケースが多いです。
管理会社からリフォームの提案をされますが、入居率が上がるリフォームにはならない上、高額になる可能性があります。
そういったリスクを避けるために、あなたの目でリフォームの必要性をチェックしましょう。
比較的新しい設備は、リフォームが不要かもしれませんし、反対にリフォームを必要とする設備が提案に含まれていない可能性があるからです。
このチェックは、スポーツ観戦と似ています。
野球やサッカーの試合をテレビで見るのと、実際に現地で観戦するのとでは、まったく異なります。
テレビだと次のような感覚は味わえません。
- スタジアムの雰囲気
- 会場の熱気
- ホームラン打ったときのドームのざわめき
- 得点が決まったときのどよめき
これらは、実際に試合を見ることでしか感じられないのです。
現地でしか味わえないことがあるように、アパートの内覧にくる人が「ちょっと古いな…」「ここが綺麗なら住みたいのにな…」こういった感情を知るには、現場に足を運び、あなたの目でチェックする必要があります。
そうすると、「クロスは張り替えなくてもそこまで気にならない」「照明が暗すぎるから交換しよう」など、現地でしか分かり得ない情報が手に入るのです。
あなたの目でリフォームが必要かチェックすると、入居率が高まる可能性があります。
②立地条件が良い地域を選ぶ
立地条件が良い地域は、東京都心3区である、千代田区、中央区、港区などです。
こういった地域は、利便性は高いですが、物件価格が高額で手を出しづらい傾向にあります。
加えて、良い物件はWebサイトに掲載されることなく決まってしまう可能性が高いです。
初心者が契約に持ち込むのは難しいとされています。
そこで、おすすめなのは、次の特徴に該当する地域です。
- ターミナル駅が近くにある
- 街の利便性が上向き傾向
それぞれ解説します。
ターミナル駅が近くにある
ターミナル駅とは、東京でいうところのJR線や東京メトロ線が重なっている駅のことです。
私が住む長野県を例にあげると、長野県のターミナル駅は、「塩尻駅」「松本駅」「篠ノ井駅」「長野駅」などがあります。
「篠ノ井駅」なら、JR線、しなの鉄道が通っています。
このようなターミナル駅が近いと、複数の路線が重なることから人が集まる傾向にあり、退去してもすぐに次の借り手が見つかる可能性が高いです。
そういった地域の不動産情報は、HOME’S不動産投資の「見える賃貸経営」で確認できます。
例として、篠ノ井駅周辺の賃貸経営状況を調べてみました。
入居希望者の最多検索条件 | LIFULL HOME’S最多掲載物件条件 | |
家賃 | 5万円~ | 4万円~ |
住戸の広さ | 40m2~ | 40m2~ |
築年数 | ~30年 | ~30年 |
駅からの徒歩時間 | ~20分 | ~20分 |
家賃相場
- 1LDK(駅徒歩10分以内)57,000円
- 2DK(駅徒歩10分以内)49,700円
こういった情報から周辺の不動産状況がわかるので、立地条件が良いか確認できます。
街の利便性が上向き傾向
土地区画整理事業や市街地再開発事業が行われている駅は、街の利便性が上がっており立地条件が良いといえます。
土地区画整理事業とは、道路、公園、河川等の公共施設を整備・改善し、土地の区画を整え宅地の利用の増進を図る事業です。
具体的には、会社まで通勤に利用している道路の交通がスムーズになったり、公園の遊具が一新されたりすることです。
たとえば、会社に車通勤する場合、混みあう道路が少なくとも一つはあるでしょう。
そういった場所が整備されると、会社までの通勤時間が短縮する可能性が高いです。
もしそうなれば「立地条件が良くなり、利便性があがった」といえます。
続いて、市街地再開発事業とは、土地や古い建物を一帯で開発し、大型商業ビルなどを建設して地域を活性化することです。
業務施設の近代化を図ります。
安全で快適な生活空間にすれば、街の利便性があがるのです。
普段の生活にたとえると、近くのターミナル駅近くに大型デパートが建設されるイメージ。
駅からアクセスが良いので、訪問客が増えて街全体が盛り上がります。
こういった街の利便性が高い地域の物件は、「立地条件が良い物件」です。
土地区画整理事業や市街地再開発事業が行われているかは、各市町村のホームページで確認できます。
たとえば、長野市のホームページを見ると次のことがわかります。(2022年11月2日現在)
- 土地区画整理事業を長野駅周辺第二地区で施工中
- 市街地再開発事業は、今のところ予定なし
知っているかどうかで、今後立地条件が良くなっていくか、ある程度の見通しができるはずです。
もし、大型商業施設が将来設置予定なら、人が集まる立地条件が良い物件になる可能性があります。
仕事のプレゼン前にたくさん練習すれば本番成功できるように、アパートを購入する前に下調べをすれば、失敗する可能性を減らすことができるのです。
③管理会社に相談と逆営業
客付けを管理会社に委託している場合、早く入居者を決めてもらうために管理会社に逆営業がおすすめです。
管理会社は、他にも物件を持っていたり、客付け以外の仕事をしていたりと忙しい場合があります。
そういった場合、あなたの物件の客付けは後回しになってしまう可能性があるのです。
こちらとしては、すぐに入居に動いてもらうために管理会社に相談する必要があります。
そんなとき、手土産を持って訪問すると、良い対応をしてもらえる可能性があります。
管理会社に逆営業するイメージです。
管理会社も、そういったことをしてくる大家さんには対応を改める可能性があります。
場合によっては、客付け業者と同行することで客付け業者も一層身が引き締まり、客付けの優先度を高めてもらえるかもしれません。
こういったことは、普段の会社員生活でも経験すると思います。
たとえば、あなたの会社がよく利用する仕入先の営業マンです。
あなたの会社に顔を出してカタログなどを置いていきます。
そんなとき、カタログだけではなく、美味しいお店のお菓子を持ってきてくれたら、営業のためにやっていると分かっていても、お菓子を持ってきてくれたことは覚えているはずです。
だからこそ、どこの仕入先から注文するか迷ったときに、その仕入先の営業マンの顔が頭に浮かびます。
これと同じように、管理会社に「このアパートは手土産を持ってきてくれるあの大家さんだ」と思ってもらえば、他のアパートより客付けを優先してもらえる可能性が高まるのです。
結果、空室リスクの回避につながります。
④より良い客付け業者を探す
物件の客付け業者が「客付けに強い」と、入居率が上がります。
客付けは管理会社の仕事である可能性が高いです。
今の管理会社が不安ならすぐに入居を決めてくれる管理会社を探しましょう。
他の管理会社に相談するときは、手土産などを持っていけば対応がスムーズになります。
また、客付けについてのアドバイスをもらえるかもしれません。
たとえば、「どうすれば入居が決まりますか?」と聞くと、何を改善すればいいか教えてもらえることがあります。
問題がわかると、あなたの経験値になり、将来に空室がでたときの助けになるはずです。
客付け業者を探す目安は2つあります。
- 入居率が95%以上
- 管理会社の営業マン1人が担当している管理戸数が少ない
入居率が高いと、それだけすぐに空室を埋めてくれます。
入居率は、会社のホームページに記載があったり、相談したときに教えてくれたりするので、確認してください。
また、1人が担当する管理戸数が多いと、客付けに割ける時間が少なくなります。
忙しいと、客付け業務は後回しにされてしまうからです。
あなたも仕事では、先延ばしできる仕事より緊急性が高い仕事を優先すると思います。
それと同じように、客付け業者の営業マンにとっては、あなたのアパートにすぐ入居者を決めなければいけない緊急性が低いと、先延ばしにする可能性があります。
客付け業務より緊急性が高い仕事をやりたいのです。
また、1人が担当する物件が多いほど業務が忙しくなるため、1人当たりの担当物件数が100〜150戸ほどなら丁寧な対応が期待できます。
管理会社に訪問すると教えてもらえるため、確認してみましょう。
⑤人口増加地域の物件を選ぶ
人口が増加している地域は、それだけ住む場所も増えています。
このことから、人が減っている地域より増えている地域の物件を借りたほうが入居率があがる可能性が高まります。
日経BP総合研究所の記事によると、2022年の人口増加数が多いトップ3は
「つくば市(茨城県)」「流山市(千葉県)」「藤沢市(神奈川県)」でした。
参考:日経BP総合研究所 人口増減率ランキング2022――全国TOP50・人口規模・都道府県別
この結果から、東京都や大阪府のような大都会以外でも、地域によって人口が増加傾向にあると分かります。
出身地を聞いたときに「東京」と言われると、すぐに都会の人というイメージがつくでしょう。
ですが、都心のように都会な場所もあれば、緑が多い場所もあるのです。
これと同じように、都道府県単位で見るのではなく、地域ごとの増減を確認すれば物件周辺の人口が増えているか見極めることができます。
⑥ホームステージングで入居率を上げる
ホームステージングとは、空室の部屋に家具や照明器具を設置して素敵な部屋を演出することです。
内覧の際に、入居希望者から「おしゃれな部屋!」と感じてもらえれば、入居率があがります。
また、ホームステージングした状態の写真を募集サイトにアップすることで写真が鮮やかになります。
近年は、SUUMOなどの不動産ポータルサイト経由で内覧する人が多いと思います。
部屋の写真が良いと内覧につながる確率が高まるので、入居率を上げる可能性があるのです。
内覧にきたときも、ひと手間かけると内覧者のイメージが変わります。
たとえば、内覧のときは通水されていないので、部屋の臭いが気になるかもしれません。
そんなとき、キッチンの排水溝にラップなどで蓋をすれば嫌な臭いを防ぐことができます。
ちょっとした心遣いが入居率を上げるのです。
仕事でも、できるだけ笑顔でお客さんと接することを意識するだけで、仕事の受注率が上がることがあります。
これと同じで、少しの気配りで内覧者や募集サイトを見る人のイメージが変わり入居率をあげることができるのです。
災害リスク
不動産投資は、災害リスクに備えなければいけません。
台風や大雨による被害は、ニュースでよくみられます。
危惧されている南海トラフ大地震は、近いうちにくると予想されており、もし起これば建物が損傷する可能性があるでしょう。
こういった災害リスクは、保険でカバー可能です。
ここでは、災害リスクについて解説します。
①火災保険に加入する
火災保険とは、火災をはじめ幅広い災害に対応しています。
火災保険の対象は大きく2つに分けられます。
- 建物
- 家財
建物は、一戸建てやアパートやマンションを指します。
家財とは、建物の中にある家具や什器などの動産です。
テレビや家電がイメージしやすいでしょう。
火災保険で補償できる具体例は次のとおりです。
- 落雷によりエアコンが壊れてしまった災害
- 台風で瓦がアパートにぶつかり損害が起きた風災
- 洪水でアパート1Fが床上浸水してしまう水害
補償される事故の種類は、火災保険の内容によって異なります。
加入前に内容を確認しておきましょう。
保険料は、一般的に契約期間が長期や一括払いにするほど、割引されてお得になります。
②地震リスクは3つに注意
地震保険は火災保険の保険金額の30%~50%以内で設定される
日本は地震大国であることから、地震リスクには備えたほうが良いといえます。
地震保険に入ることがおすすめです。
地震によって起きた津波・火災・噴火が起きたときは、地震保険が適用になり損害が補償されます。
地震保険は単独では加入できず、火災保険の加入が条件です。
大きな特徴として地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%〜50%以内で設定されています。
支払われる保険金に上限があり、建物と家財は次のとおりです。
- 建物は5,000万円まで
- 家財は1,000万円まで
実損害額ではなく、損害の程度に応じた保険金が支払われます。
- 大半損:保険金額の60%
- 全損:保険金額の100%
- 小半損:保険金額の30%
- 一部損:保険金額の5%
(いずれも建物や家財の時価額のパーセント)
地震大国である日本において、地震保険の加入は一つのリスク対策です。
購入物件は新耐震基準物件のみとする
購入物件を新耐震基準物件だけに絞るのも一つのやり方です。
新耐震基準物件とは、「震度6強以上の地震で倒れない住宅」のこと。
1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物に対して新耐震基準が適用されています。
旧基準は、「震度5程度の地震に耐えうる住宅」でしたので、耐震基準がより厳しくなったといえます。
南海トラフ大地震がくると予想されている昨今、地震はくるものと考えておく必要があるでしょう。
新耐震基準物件に絞り不動産投資をするのも地震リスクを回避する一つの方法です。
地盤調査をする
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で全国のハザードマップを確認できる。
購入予定地域の状況を把握しておきましょう。
都道府県と市町村を入力すると、地域のハザードマップを確認できます。
たとえば、福島県伊達市には、震度被害マップが掲載されています。
参考:伊達市防災マップ
物件地域のハザードマップを確認することは、購入判断に大きな影響を与えるかもしれません。
③水害ハザードマップの確認
水害は、火災保険で補償できますが、そもそも購入予定の不動産が水害地域に含まれていないか確認しましょう。
地震保険のパートでも説明したとおり、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で全国のハザードマップを確認できます。
購入予定地域の状況を把握しておきましょう。
災害リスクは、どれだけ想定できるかで決まります。
たとえば、東日本大震災の2011年3月11日、ディズニーランドは震度5強を記録しました。
ですが、ランドでもシーでも負傷者はゼロだったのです。
ディズニーランドでは、年180回地震訓練をしており、いつも訓練していたからこそ負傷者ゼロだったのだと思います。
どうしようもない場合もありますが、できるだけリスク回避するには、災害をどれだけ想定できるかで決まるのです。
修繕(老朽化)リスク
建物は、年数が経過すると老朽化するので、修繕しなければいけません。
修繕リスクに備えておく必要があります。
たとえば、次のような修繕です。
- 屋根・外壁の塗装
- 雨漏り修繕
- 給湯器やエアコンの交換
- 給排水管の交換・洗浄
- 入退去に伴うリフォーム
修繕のリスク対策は、次の5つです。
- 修繕費の積み立て
- 修繕に強い管理会社と付き合う
- 修繕計画を立てる
- 重要事項調査報告書のチェック
- 電気的・機械的事故の特約をつける
それぞれ解説します。
①修繕費の積み立て
修繕のために積み立てたお金は、修繕積立金と呼ばれ、「建物を長期的に維持するために使われる費用」です。
修繕が必要なタイミングは、ある程度予測できます。
国土交通省が賃貸経営者向けに公表している資料に目安の費用が掲載されていました。
不具合の発生目安は次のとおりです。
屋根の塗装・補修 | 11~15年目 |
---|---|
屋根の防水・葺替 | 21~25年目 |
外壁の塗装 | 11~18年目 |
外壁のタイル張り補修 | 12~18年目 |
給湯器・エアコン交換 | 11~15年目 |
給排水管の高圧洗浄 | 5年目 |
給排水管の取替 | 30年目 |
階段・廊下の鉄部塗装 | 4~10年目 |
階段・廊下の塗装・防水 | 11~18年目 |
外観の劣化により見た目が悪くなると、入居率の低下につながります。
適切なタイミングで修繕しましょう。
続いて、費用の見通しを表にまとめました。
年数 | RC造20戸 (1LDK~2DK) |
RC造10戸 (1K) |
木造10戸 (1LDK~2DK) |
木造10戸 (1K) |
5~10年目 | 9万円 | 7万円 | 9万円 | 7万円 |
11~15年目 | 55万円 | 46万円 | 64万円 | 52万円 |
16~20年目 | 23万円 | 18万円 | 23万円 | 18万円 |
21~25年目 | 116万円 | 90万円 | 98万円 | 80万円 |
26~30年目 | 23万円 | 18万円 | 23万円 | 18万円 |
合計 | 225万円 | 177万円 | 216万円 | 174万円 |
※参考:国土交通省 民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック
※金額は一戸当たりのおおよその数字
※30年目以降も修繕はかかります
こういった修繕に加えて、日常的な点検や年に1回程度の定期点検で不具合箇所を確認をすると、早期発見につながります。
早めに見つかれば、部分的な修繕だけで済んで、費用が安く抑えられる可能性があるのです。
たとえば、風邪をひいたときに仕事を休めず、ムリして出勤したらより体調がひどくなることがあります。
早めに休んで風邪を治せば、少しの休日で良かったかもしれませんが、無理をすると1週間も休むことになるかもしれません。
体調が悪ければ早く休んだほうが良いように、不具合箇所は早期に修繕したほうが大規模修繕のリスクを減らすことにつながるのです。
積立金額を把握し、不具合箇所は早期に修繕しましょう。
②修繕に強い管理会社と付き合う
修繕に強い管理会社の見極めポイントは、「リフォームもしている管理会社」です。
施工会社と提携していたり、設備保証プランがあったりする会社は、修繕に強いといえます。
確かめる方法は、ホームページを見たり、管理会社に直接聞いてみたりすることです。
事前に確認しておくことで、入居中に設備が故障しても管理会社に安心して対応してもらえます。
あなたの職場でも、Excelが得意な人や話が得意な人がいるように、管理会社にも特徴があるのです。
③修繕計画を立てる
一般的な設備の修繕時期が分かれば、修繕計画を立てましょう。
長期の修繕計画が分かれば、特に高額な修繕費が必要なタイミングもつかめます。
また、資金に余裕を持たせておけば、突発的な修繕が発生しても資金が足りなくなるリスクを減らせます。
仕事でも、手帳を使いスケジュール管理をして、タスク漏れを防いでいると思います。
同じように、修繕計画がしっかりしていれば、資金がショートする可能性を減らせるのです。
適切な修繕計画を立てましょう。
④重要事項調査報告書のチェック
マンション購入の際は、重要事項調査報告書を見ると、マンションの詳細情報が手に入ります。
この報告書では、修繕について次のことが分かります。
- 修繕積立金の総額
- 修繕積立金の月額
- 大規模修繕工事の予定
- 修繕工事履歴
こういった情報がわかれば、設備の修繕予定時期と照らし合わせて、今後の修繕予想がある程度できるはずです。
今まで適切に管理が行われていないと、おかしな数字になっている可能性があります。
重要事項調査報告書をチェックすることで、修繕リスクを下げる可能性があるのです。
だいたいの人は、新しい家電の説明書をしっかり読まないと思います。
ですが、間違った使い方をして家電を壊してしまうように、重要な書類を読んでおかないと、修繕費が想定以上にかかってしまう可能性があります。
重要な書類は、内容を把握しておくことが必要です。
⑤電気的・機械的事故の特約をつける
火災保険に電気的・機械的事故の特約をつけると修繕リスクを減らすことができます。
この特約があると、「エアコン」「給湯器」といった設備が壊れた時に保険で対応できるのです。
たとえば、異常着火し給湯器から大きな音がして、配線が焼きついて故障したとします。
このケースは、特約の対象となる事故例です。
保険料は、不動産収入の必要経費として計上できるので、こういった特約をつけることで修繕リスクを減らすことができます。
家賃下落リスク
不動産投資において、家賃は収入の生命線です。
なるべく下げたくありません。
家賃が下げにくくする方法は次の3つがあります。
- フリーレントを活用する
- リノベーションする
- 部屋の見た目を少し良くする
それぞれ解説します。
①フリーレントを活用する
フリーレントをうまく活用することで、家賃が下落することなく入居してもらえる可能性が高まります。
フリーレントとは、入居後に1〜3ヶ月の期間は家賃を無料にするサービスです。
近年は、SUUMOなどの不動産ポータルサイトで近隣アパートの家賃を簡単に調べることができるので、近隣と比較してあなたのアパートが適正価格かすぐ分かります。
だからこそ、入居者から「家賃を下げてほしい」と依頼がくることもあるのです。
こういったとき家賃を下げるのではなく、フリーレントを活用します。
そうすると、「初期費用をなるべく下げたい入居者」にとっては、嬉しい提案です。
成約率が高まる可能性があります。
大家側も1〜3ヶ月は家賃収入がありませんが、その後は従来通りの家賃収入が手に入るのです。
サブスクで音楽ダウンロード無制限やドラマ見放題のサービスが多いですが、「最初の2ヶ月は無料」などといった言葉をよく見ます。
こういった最初の購入ハードルを超えることができれば、引き続きサブスクを利用し続けるように、フリーレントを活用し最初だけ家賃無料にすると、家賃下落リスクを避けられる可能性が高まるのです。
②リノベーションする
古めの物件を購入する際は、リノベーションで物件が生まれ変わる可能性があります。
リノベーションとは、既存の建物に大規模な工事を行うことです。
大規模な工事なので、それなりの金額がかかります。
資金がない場合は、DIYしたり知り合いに協力してもらったりと工夫をこらして低予算に抑えましょう。
自分で作業しない場合は、管理会社に依頼するなどして、リノベーションすれば入居したいと思える部屋に生まれ変わる可能性があります。
そのときも、リフォームと同じように見積書をもらい自分の目で工事内容を確認しましょう。
③部屋の見た目を少し良くする
リノベーションのように大規模なことをしなくても、部屋の内装を少し工夫するだけで、入居者に「良い感じの部屋だ」と思ってもらえます。
少し変えただけで、見た目が良くなる場所は4つです。
- コンセントカバー…部屋の印象が変わる、1つ1,000円以内で購入可能
- 照明器具…買い物にいったときにスーパーが暗いと、気分が落ち込むように、部屋が暗いと入居者の気分も落ち込んでしまいます。1万円〜2万円ほどの照明器具は購入可能です。明るめにして、部屋の見た目を上げましょう。
- キッチンの水栓…シングルレバーにすると、高級感がでる
- 玄関の全身鏡…女性の入居者を狙っている場合は、玄関に全身鏡を設置すると、利便性があがります。身なりに気を使う女性にとっては、外出前に身なりをチェックしたいからです。
4つ全てを取り替えたり設置しても5万円もしないかと思います。
ですが、入居者にとっては部屋の見た目が変わるのでおすすめです。
仕事でも、胸を張って声を少し大きくするだけで話し手から受ける印象は大きく変わります。
少しの工夫で入居者が感じる印象を変えましょう。
家賃滞納リスク
入居してもらっても、家賃を支払ってもらわなければ収入はありません。
なかには、夜逃げする人がいるため注意が必要です。
ここでは、家賃滞納リスクを回避する方法を紹介します。
①現状の入居者をチェックする
あらかじめ入居者をチェックしておくと、家賃滞納リスクを減らせます。
中古物件を購入すると、現状の大家さんと交代することになります。
大家さんと交代するだけなので、入居者はそのままです。
そこで、現状の入居者をチェックするために「賃貸借申込書」をチェックし、どんな人が入居しているか把握しておきます。
賃貸借申込書をチェックすると、次のような予想ができます。
- アルバイトやパートよりも正社員のほうが安定した収入がありそう
- アルバイトやパートなら、連帯保証人がいれば安心できそう
- 滞納したことがある人は、今後も注意が必要そう
「賃貸借申込書」を見てあまりにも入居者が不安なら、その物件は購入しない選択肢もありです。
アウトレットショップで商品に傷がついてないか確認するように、「賃貸借申込書」を見て家賃滞納リスクを把握しておきましょう。
②ボロ物件には手を出さない
ボロ物件の購入は、あまりおすすめできません。
あまりにも価格が安い物件は、トラブルが多かったり、夜逃げされてしまったりするケースもあるようです。
ですが、そういった物件は、表面利回りが高いこともあり購入してしまう人がいます。
たとえば、聞いたこともないメーカーの商品が激安で売ってあり購入した経験はないでしょうか。
そういった商品は、すぐに壊れたり口コミが悪かったりすることがあります。
安さに飛びついて後悔するように、高利回りに飛びつくと損をする可能性があるのです。
家賃を支払ってもらえなければ、結局利回りは落ちるため価格が安いボロ物件には手を出さないのが得策といえるでしょう。
③家賃保証会社を利用する
入居者が家賃保証会社を利用すると、家賃滞納リスクを減らせます。
家賃保証会社を利用すると、入居者が家賃を支払えない場合、家賃保証会社が建替えして支払ってくれるからです。
建替えで支払った分は、家賃保証会社が入居者から取り立てする仕組みです。
入居者が連帯保証人を付けられない場合、家賃保証会社に加入してもらうのは有効な手段といえます。
家賃に応じた保証料は、入居者が支払いするため、あなたの手を煩わせることもありません。
できるなら、加入を推進していきたいです。
④サブリース契約を結ぶ
サブリース契約とは、サブリース業者がアパート等の賃貸住宅をオーナーから一括して借り上げることです。
サブリース契約を結ぶと、毎月の家賃収入を支払うのはサブリース業者になり入居者に代わって家賃を支払ってくれるので、家賃滞納リスクを回避できます。
空室数に関わらず一定の家賃を受け取れるので、入居率を気にする必要がないのは最大の特徴といえます。
ですが、サブリース契約は良い面ばかりではありません。
デメリットとメリットをそれぞれ解説します。
サブリース契約のデメリット
デメリットは、賃料減額をめぐるトラブルが起こる可能性がある点です。
対策としては、相手の説明をよく聞いて、契約内容を確認します。
よく分からない点は何度も聞いて確認し、納得してから契約してください。
参考:消費者庁 サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!
サブリース契約のメリット
メリットは2つです。
- 賃料収入が見込める
- 管理の手間がかからない
サブリース契約を利用すると、毎月の家賃収入を支払うのはサブリース業者になります。
入居者に代わって家賃を支払ってくれるので、家賃滞納リスクを減らせます。
また、空室でも一定の家賃を受け取れるので管理の手間がいりません。
魅力的な収入を手に入れることができるなら、サブリース契約は選択肢の一つになります。
サブリース契約は、あなたの会社でいう売るための一つの手段です。
お客さんに向けてダイレクトメールや広告をうつといった手段があるように、不動産投資を成功させるためにサブリース契約を活用できます。
ですが、あなたの会社の知名度、地域性、取り扱う商材により、「今回は新聞広告にしよう」などと宣伝手法は変わります。
これと同じように、取扱物件やサブリース業者によって、サブリース契約するか決める必要があるのです。
サブリース契約の利用は、慎重に検討しましょう。
⑤信頼できる管理会社と付き合う
CMを打ち出している大手であれば、信頼できそうですが、なかには聞いたことがない地方の管理会社があります。
信頼できるかどうかは、普段の対応から見抜けるでしょう。
たとえば、次のような対応で見抜くことができます。
- 電話対応が横柄な態度ではないか
- メールの返信スピードは早いか
こういった対応に問題なければ、信頼できる管理会社といえます。
不動産価格下落リスク
建物は、年数が経過すると下落していくのが一般的です。
将来的には、物件を売ってキャピタルゲインで儲ける予定なら、不動産価格下落リスクの対策をしておかなければいけません。
ここでは、不動産価格下落リスクの回避方法について解説します。
①景気動向をチェックする
景気動向をチェックすれば、不動産価格が景気にどう左右されているか分かるので、一つの目安になります。
景気動向をチェックするには、内閣府が3ヶ月ごとに出している「地域経済動向」で、ある程度の理解が可能です。
たとえば、令和4年9月の甲信越の概要は、次のとおり。
- 甲信越地域では、景気は緩やかに持ち直している。
- 鉱工業生産は持ち直しの動きがみられる。
- 個人消費は緩やかに持ち直している。
- 雇用情勢は持ち直している。
景気が緩やかに持ち直していることが伺えます。
反対に不景気なら、物件購入する人が減ったり、融資に制限がかかったりすることから不動産価格が下落する可能性があるのです。
こうした景気によって不動産価格は変化するため、景気動向をチェックする必要があります。
②事件・事故がないか確認する
事件や事故が起こると、不動産価格が下落することがあります。
人口減少に伴い、アパートで一人暮らしする人が増えていることから、高齢になると孤独死や将来の不安から自殺してしまうケースがあるのです。
他にも、高所から転落してしまうなどの事故もあります。
このような物件は、なるべく購入しないのがおすすめです。
③定期的に物件価格をチェックする
“今”の価格を定期的に確かめておく必要があります。
そうすれば、突然物件を売ることになっても、いくらで売れるのか予想しやすくなるからです。
たとえば、区分マンションを保有しているなら、同じマンション内の他の部屋を見てみます。
ネットで調べるとすぐに出てきますので、現在いくらで売りに出されているのか確認しましょう。
売却価格の参考になるはずです。
流動性リスク
不動産は、すぐに現金化できないことから流動性リスクがあります。
契約から引き渡しが終わるまで最短でも数ヶ月かかってしまうからです。
たとえば、会社の稟議書をイメージしてください。
何人も決裁者がいると、決裁されるまでに1ヶ月以上かかることがあります。
稟議書の決裁人数が多いように、不動産売買も手続きが多いのです。
だからこそ、不動産はすぐに現金化できません。
早く現金化したいばかりに、相場より下げて売ってしまうことがあるので注意してください。
会社の決算が近くなると、税金面でメリットがあることから在庫を減らすために、通常価格より大幅に安く売ることがあります。
これと同じように、売り急いだことが原因で相場より安い金額で売ってしまう可能性があるのです。
これに対応するには、立地の良い物件を購入するのがあげられます。
立地が良い物件は、売れ行きも良い傾向にあるからです。
金利上昇リスク
金利上昇リスクには、固定金利がおすすめです。
不動産は高額なことからローンを組み購入します。
このときの金利は「変動金利」「固定金利」のどちらかを選択しなければいけません。
変動金利のほうが契約時の金利が低いですが、インフレになると金利は上がります。
金利が今後上がるか下がるかは、転勤の辞令と同じでどうなるか予測できません。
いきなり上司に呼び出されて「急ですまないが、来月の転勤が決まった」といつ言われるか分からないように、金利もいつ上がるか分からないのです。
転勤がいやなら、「転勤がない会社に転職する」ように、金利上昇リスクを避けたいなら、「固定金利を選択する」対策がうてます。
まとめ
不動産投資は、リスクが多いといえます。
ですが、適切な対策をすれば、リスクに備えることができるのです。
リスクに備えて知識をつけ、不動産投資を成功させましょう。